SESの営業とキャリアの話

SES営業って何してるの?

フリーランスの営業代行してたよ

地方から出てくるときに、業界構造を何も知らず「人材系の会社」ということで入社。

フリーランスという新しい働き方を支援するということで、いろいろな企業を訪問し、フリーランス(いわゆる個人事業主)をプロジェクトに入れていく仕事をしてました。

 

人材系といえば、人材系なんだが雇用契約を客がそのフリーランスと結んだり、自社が結んだりはしない。フリーの人にサイトを通じて登録してもらって、フリーが受注できる仕事を紹介する仕事。そこでは委託(準委任)をする。要は仕事を発注する立場とそれを委託される立場ですよという契約をする。この点から人材系というよりは、仕事発注系、ビジネスマッチングに近いかもしれない。

 

タイトルのSESって何か。システムエンジニアリングサービスを指す。私はあまりポジティブな意味には感じない言葉だ。ここまで書いてきた顧客・フリーランスのうち、IT業界のエンジニアに特化した委託・準委任のビジネスだ。

 

おもしろいことに自社がその商流の間に挟まる。
顧客→人材系→フリーランス

顧客から仕事をもらうに際しては、フリーランスに仕事を発注することを前提に契約する。顧客から委託してもらった仕事を、手数料を抜いて、またフリーランスに発注するという仕組み。(=これを再委託という。)

ここまでは、何とか健全さを保った説明になっているが、商流の何次請けどこに挟まるかという点でポジティブに感じない。

一番の発注元から仕事が流れてくる中で、1次請け、2次請け..とつながる中が3~5次請けまたはそれ以下に挟まる。なんせ、人材系自体は技術を持っているわけではないので1次請けをしたりしない。また2次請けもある程度の部品、部分の完成を求められたりするのでお門違い。3~5次に挟まるのが、ライバルみても自社見ても一般的ではないかなと思う。

発注元→大手SI→中小SI→人材系→フリーランス

 

(本文と直接関係はないが、この狭い世界の一般的は、この狭い世界の一般的であって世の一般的ではない。それはもはや一般的という言葉を使うのは矛盾しているかも。)

 

もう少し説明する。

このビジネスのうまみは、間に入ることで手数料が10%程、毎月入ってくるところだ。契約さえしてしまえば、継続ビジネスとして契約が続く限りCFが生まれる。大家さんと同じ状態。

1案件100万で紹介したら、90万フリーランスに手渡し、10万は自社に落ちる。
1年契約であれば、120万の利益の見込みが立つ。顧客は、PJ期間におけるテンポラリーな人材が見つかり、フリーエンジニアは高単価で受注。WIN-WIN-WINだ。

↑理想的にはこう言った絵です。


ちなみに10%というのはあくまで目安であって決まりではない。市況と顧客・エンジニア両方を見て値踏みする。

 

現実には、70万(外税75.6万)計算して受注し、60万(内税)で発注していた。(間が25万も取れているね、利益率は20%)
顧客は、1年契約なんてリスクを追わないので3か月更新。3か月単位で契約終了か否かを判断する。一方交渉力のないフリーランスは、60万受取りその中で税金やら保険やらを支払う。サラリーマン上がりのフリーランスが一番交渉力が低いので、サラリーマンの時の給料と単純比較し、60万もらえたら、うれしい!と勘違いする。
...それは給料ではなく売上だけれども。

 

これは自分の経験を元に書いているのでリアル。
↑脱税しているわけではないです、値付けの話です。税は払っています。

 

偽装請負の話も言及しておく

下請法で、偽装請負ダメ絶対!と決まっている。
偽装請負というのは、その名の通り請負を偽装すること。広い意味で請負(委託・委任も含む)では、仕事を発注しているわけで、人を派遣しているわけではないのだから派遣契約を請負契約に偽装することはNGになっている。派遣というのは、人材会社と雇用契約があってそこから派遣する一般派遣とか、特定派遣といって正社員を派遣するとかがある。どちらも「人」であり雇用されているので、仕事を発注→受注→納品する立場とは別の法律が適用される。そこを混同すなよということ。

派遣か請負かを判別するためのキーは「指揮命令があるかないか」というところである。派遣社員は、顧客先や自社から指揮命令されてよい。企業間でちゃんと契約を結び、その人にあった労務管理がなされるからだ。

 

しかし、請負は基本的に仕事を発注し、受注したという契約。受注した側は自らの意思で仕事を遂行する、要は顧客からの指揮命令は受けず自分意思で任された仕事を完成させ顧客に納品する義務を負っている。こちらは、命令もされない分、労務管理されない。ただ発注→受注→納品するだけの契約だ。

 

何が問題かというと、労務管理されない人に対し指揮命令をしてしまうと、奴隷のようにいくらでも働かせることができ、法の抜け穴になってしまうところ。下請けいじめになるからやめたれやというのが、下請け法の言わんとこであり、偽装請負です。
(相当端折っているけどご了承ください。)

 

それでも面白かった

いろいろなグレーゾーンはありながらも、仕事は刺激的で面白かったです。

フリーランスも交渉力のない人たちばかりではなく、ちゃんと法人を立てていたり技術・人物的にも魅力的な人が多かったです。

 

 

SES営業から得られたスキル

仲の良い4人が、この会社に入社し約3年ほど一緒に働きました。
私を含む2名は同時に転職し、その後1名も転職。残る1名はビジネスの形を変えましたが、その会社にいます。また、後輩や先輩なども起業・上場などいろいろな人がいろいろなキャリアに進みました。モバイルゲームブームだったこともあり、そういったソシャゲー会社にいる仲間が多いです。

前置きが長くなりましたが、こういったSES営業の経験を経て、どういったキャリアを描いてきたのか書いていきたいとおもいます。

 

SES営業で得られた3つのスキル

営業だったので、マーケティングスキルです。

  • 市場を読むスキル
    具体的にどこが儲かっていて、どういう期間儲かって、なぜ儲かってというのを「人」と「仕事」を俯瞰してみたおかげで、持論を持てるまでに知見を得ることができました。

    働いていた当時は、ソシャゲーバブルのはじめ~盛り上がってきたところまで。当時のモバイルゲームのエンジニアはJava,PHPなどを習得した若手。そこでの経験はグッと単価も上がり、いろいろな企業へ紹介、即受注をいただくことができ、こだわりがなければ基本受注に困ることはなかったと思います。

    一方で、cobolなど渋めの技術を担当されているベテラン~高齢は決めるのになかなか苦労しました。スキルは間違いないんですが、それを使っている現場がなかなかない。現場があっても年齢的に厳しいなど、半年間、紹介→NG→紹介→NGを繰り返していました。(本人はうちの会社が好きだったようなのであきらめずについてきてくれました。)

    そこで、市場というものを学び、本人の頑張りとか関係ない世界に値段を決めるルールがあり、それは需要と供給であることを身をもって学びました。

  • 市場に打ち出すスキル
    人と仕事をマッチングさせます。何人も何人も経歴書を読みます。書き方が薄い人に対してはアドバイスをします。マーケティングスキルにもつながりますが、「表現されないスキルは評価されない」ということを学びました。(逆に表現さえできれば中身はようわからなくても売れてしまう)ということも学びました。

    エンジニアの人は、職人気質の人が多いので本質的なスキルや難しいスキルを極めがちで、それらを極めれば高給取りになると思いがちでした。しかしそれは誤りで、どういうスキルを持っているかをどう表現するかが大事であって難しさや本質は関係ないことを学びました。

    一番わかりやすいのは、「キーとなるキーワード×経験年数」です。
    「開発を10年やっています」と「開発を5年やってます」では、前者が勝ちます。
    「いろんなことを10年やっています」と「モバイルに特化した解決を5年やっています」では後者が勝ちます。ただしモバイルを求めていない会社には刺さりません。SEO対策と同じような考え方で、見る人は頭の中でキーワードを検索しているのです。また、人材担当・調達担当・採用担当それぞれに上司がいて、上司にOKを出してもらうための理由をさがしているのです。


    もちろん今の例は一番わかりやすい例でありそれがすべてではありません。技術的にも詳しくてそれを見抜く人もいましたが、そうでない人も大勢かかわっているのがビジネスの現場です。

    ゆえに、打ち出すキーワードが明確な人ほど決まる傾向にありました。

  • 市場を選ぶスキル
    市場がわかりました。需要と供給です。高くやり取りされるスキルがわかりました。そこで自分の特性と合わせ自分の市場を選ぶことを10年前決断し、現在その舞台にいます。

    需要と供給で値段が決まるとしたら、需要が多いところ、または供給が少ないところを選ぶと勝てます。

    またその需要・供給のバランスが簡単に代わってしまう領域では、稼げる期間が短くなります。逆に、参入障壁の高いビジネス領域であれば比較的、高単価を維持できます。

    そこで出会ったのが、某コンサルティングファームERP関連のコンサルMさんでした。我々が扱うフリーランスエンジニアが単価50~80万/月であったのに対し、彼は、200~300万/月(当時)で、それでも、引く手あまたでした。

    ERP自体は、はやりすたりがあったかもしれませんが、会計×システムといった両方とも専門性が高く習得しずらいスキルかつ、ERPという製品の特長を抑えなければいけないところがあります。また役割としても多くの利害関係者をまとめ、プロジェクトを推進していく立場にあり、参入障壁の高い領域とわかりました。

    当たり前ですが、日本中・世界中の会社に会計をやっていない会社はなく、システムを使っていない会社もありません。会計×システム領域は参入できさえすれば、中長期で稼げる領域だと直感的に理解したのです。


入社3年目の夏。
そのERPコンサルタントのキャリアを追いかけ、転職しました。


...当時速攻で書類で落ちたけどね笑

 

 

SESの営業→外資系コンサルファーム ×撃沈。

 


それから10年後、その某外資系コンサルファームにいます。
SES営業からコンサルファームに至るまで、続きは次回!